親ウクライナ系ハッカー集団、ウクライナ国内のIPカメラへの不正アクセスを主張

著名サイバー専門家 Master OTW 氏の記事が波紋

ロシアによるウクライナ侵攻開始から約2か月後の2022年4月、著名なサイバーセキュリティ専門家でありエシカルハッカーとして知られる Master OTW(マスター・OTW)氏が関与する海外サイトにおいて、ウクライナ国内のIPカメラにアクセスし、ロシア軍の動向を監視しているとする記事が公開されていたことが、改めて注目を集めている。

Master OTW氏は、20年以上にわたりサイバーセキュリティ分野に携わってきた専門家で、元コンピュータサイエンス教授。NSA(米国家安全保障局)、CIA(米中央情報局)、U.S. Cyber Command(米サイバー軍)を含む、米軍全軍種に対して人材育成や訓練を行ってきた実績を持つ人物として知られている。また、ハッキングの基礎と倫理を扱った複数の著書により、世界中の技術者に影響を与えてきた。

本題の記事では、親ウクライナ系のハッカー集団が「IT Army of Ukraine」からの要請を受け、ウクライナ領内に設置された多数のネットワーク接続型カメラにアクセスし、ロシア軍の部隊配置や動向を監視していると主張している。記事執筆時点で、約500台近いカメラへのアクセスを確保したとしているが、これらの内容について第三者による独立した検証は行われていない。

同記事では、この活動の目的について、ロシア軍による戦争犯罪の抑止や、仮に民間人への残虐行為が行われた場合に国際刑事裁判所(ICC)へ提出可能な証拠を記録することにあると説明している。また、「監視されている」という認識を持たせることで、兵士の行動を抑制する心理的効果を期待しているとも述べている。

一方で、専門家の間では、戦時下におけるサイバー空間での活動が、軍事作戦、情報戦、心理戦の境界を曖昧にしているとの指摘がある。特に、民間インフラである監視カメラへの不正アクセスは、国際法や各国の国内法との関係で慎重な議論が必要だとの声も強い。

Master OTW氏自身は、これまで一貫して「技術そのものではなく、使い方と倫理が問題である」との立場を示してきた人物として知られており、今回の記事も、サイバー戦争の現実とその危うさを伝える一例として受け止めるべきだという見方もある。

ウクライナ侵攻をめぐるサイバー戦は、物理的な戦場と並行して今後も続くとみられており、その中で専門家や技術者が果たす役割、そして責任の在り方が改めて問われている。

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